介護現場で注目されるバリデーション療法とは?

認知症患者とコミュニケーションをとることが難しいと言われている理由は、認知症の方の考えや気持ちを理解したり、共感をしたりすることが難しいからです。認知症患者の中には、記憶力の低下などから不安や恐れを抱く人や、被害妄想からパニックに陥る人がいます。そのため、円滑なコミュニケーションを取ろうとしても、思うようにはできません。そこで、最近はバリデーション療法というものが注目されるようになっています。

バリデーション療法の特徴は、認知症患者にとってマイナスな感情である、不安や恐れを理解し、共感することです。そのため、バリデーション療法を活用することで、認知症患者が何に対して恐れていたり、何を求めていたりするのかを知ることができます。これまで理解が難しかった認知症の方の感情の起伏や思考を理解することは、相手の気持ちを穏やかにして、心を安定させる効果が期待できます。

また、認知症患者は、妄想や徘徊などの問題行動をとることがありますが、バリデーション療法では、これらの症状にも意味があると捉えます。介護をするときに大切なことは、認知症患者の心に寄り添うことなので、認知症患者と行動を共にし、なぜ妄想にとらわれるのか、なぜ徘徊を繰り返すのかなどについて考えることは、相手に共感して接するためのヒントになるからです。

ちなみに、バリデーション療法を行うときには、認知症患者の前に座り、じっと目を見て話すことがポイントです。そうすることで、相手の気持ちを受け入れる意思を示すことになり、認知症患者の心を開きやすくなるそうです。また、会話をしながら肩を優しく包み込んだり、頬を撫でたりすることで共感していることを伝えるのも効果的です。そして、不安や恐れに対して否定するような発言はせず、優しく肯定することで安心感を与えることがポイントです。バリデーション療法は、認知症患者の自尊心を傷つけることなく、コミュニケーションを取ることができる方法なのです。